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オーギュスト・ルノワール《幼年期》(1891年) 油彩/キャンバス |
本展覧会のポスター、ご覧になりましたか?愛らしい子どもがちょこん、座っています。ルノワールの≪幼年期≫(1891年)です。りんご色のほっぺの女の子に惹かれて、取材のお願いの電話をしたところ、
「あれ、男の子なんですよ」とのこと。19世紀末、男の子に女装させることが流行したそうです。
絵には隠された、はたまた、私が知らないだけなのか、秘密や事実がたくさんあって、偏見とか思いこみ、をなくして取材しなくちゃと思った瞬間。
ありきたりな言い回しかもしれないけれど、絵から流れ出す
歴史に、しばし圧倒されて、言葉が見つかりませんでした。
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エドガー・ドガ《踊り子たち、ピンクと緑》(1894年) パステル/紙(ボード裏打) |
第一部、印象派の始まる前、コローやミレーといった自然主義。
二部はピサロ、セザンヌ。ピサロの緑がまぶしい!
三部はモネ、シスレーなどの印象派。
次に、ルノワール、ドガ、カサットなどの後期印象派。
ドガの踊り子は、違った趣があります。
五部は色彩の魔術師、マティス。
その他、マルケ、ブラマンクのフォービズム(野獣派)。
六部はユトリロ、キスリング、ルオーなどエコール・ド・パリ。
七部はピカソ、ブラックなどのキュビズム、そしてローランサン。
八部は抽象画に近いミロ、カンディンスキーなど。
九、十部は色彩豊かなシャガールと
十のパートで盛りだくさん!
油彩64点、版画42点、その他4点、合計110点が一挙に集められて大規模なのに、 決して、堅くなくて重くなく、体にすんなり入ってくる。
「美術の教科書」を一枚、一枚めくっていくようなのに。 自分が絵の中にいる、存在する、かのよう。
おそらく、見る人のテンポやペースを配慮した展示であったり、 壁の色で工夫されているので、ひとつひとつの作品を落ち着いて見ることができるのかもしれない。
シスレーやモネなどがある壁はオフホワイトに。 人物画などは画面が浮き出るようになのか、壁は赤になっていたり。気配りが行き届いた展覧会。
展示の目玉というと、2、あるいは3世紀、詩人ロンゴスがギリシャ・レスボス島を舞台に描いた「ダフニスとクロエ」の版画42点。
山羊に育てられたダフニスと羊に育てられたクロエの恋の話。原色の色鮮やかな絵が記憶にくっきりと残る、作品群です。シャガール好きにはたまらないだろうし、シャガールをあまり、、という人にもぜひ。
訴えかける力や勢い、がにじみ出ている、作品たち。ストーリーがキャプションとして入っているので、絵を見る、というよりも、絵本を開いては読み進んでいる、よう。
私としては、シスレーが仏・モレやロワール河べりを描いた作品にしばし、のみこまれてしまいました。シスレーの描く「土の色」が淡い桃色のような温かい色。
1888年に描かれた「モレのポプラの並木」の土と
1896年の「ロワン川沿いの小屋」の土の色を見比べると、
ほぼ、同じ色。
もちろん、何かが変わって成長する喜びもあるとは思うけれど、このとき、変わらない強さを痛感しました。
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クロード・モネ《サンジェルマンの森の中で》(1882年) 油彩/キャンバス |
コーポレート・アート展は、企業が集めたコレクションの展覧会。
第3回まではいろいろな企業のコレクションが展示されていましたが、
今回第4回は、丸の内にある吉野石膏という会社の
コレクションに限定。
こちらは、「石膏」を作る会社で
一度使い終わった石膏と紙をリサイクルして生み出す
「タイガーボード」で知られています。
ところで普段、吉野石膏株式会社のコレクショ
洋画は山形美術館に、日本画は天童市美術館に寄託されているのできちんと保存されているとのこと。
「どこかで、ほっと安らいでいただければ嬉しいですね」 (広報担当・高山典子さん)
なお、Bunkamura・ザ・ミュージアムの前にあるのがナディフモダン(午前10時から午後9時まで)。
ナディフ(NADiff)はNew Art Diffusionの略。
diffusion は普及や広げる、という名詞。
表参道からほど近いお店は有名ですが、
渋谷のナディフはこじんまりしているのに、グッドなアイテム揃い。
ナディフのホームページ!
ちょっと見ていたら、以前メルマガでご紹介した、アーティスト吉澤美香さんの著書、「圏外遊歩」があったり(びっくり)。現代美術の水先案内人、ナディフのホームページです。
近代美術を満喫した後で現代美術に圧倒されて、なかなかナイス!でマイペースに美術散歩が楽しめる、はず。
お近くにいらっしゃる際には、ぜひ・・・。
※本展覧会は2001年12月24日まで開催されました。※
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日程:12月24日まで(開催中無休)
開館時間:午前10時〜午後7時まで(入館は閉館30分前まで、
※金、土曜日は午後9時まで開館)
交通手段:渋谷駅から徒歩7分ほど、東急本店並び
住所:Bunkamura ザ・ミュージアム
〒150-8507 渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura地下1F
電話:03-3272-8600(ハローダイアル)
URL: Bunkamura
ザ・ミュージアムホームページはこちら!
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